095: 遠い旅路(END4)
思
い出したかのようにきみはカーナビゲーションのスイッチを入れた。
現在地と周りの地図が表示される。
画面には真っ直ぐに延びた橋しか表示されていない。まわりはすべて海だ。
地図の縮尺が小さすぎるのだろう。きみはスイッチを何度も押して表示範囲を広げていった。
やっと陸地が表示された時に画面に映っていたのは世界地図だった。
きみの走っているこの橋は、このままアラスカまで伸びていた。
途中で降りることなど出来はしないだろう。
仕方がない。
きみは目が覚めるまで、ひとりきりで海の上を走り続けることにした。
ガソリンが無くなることはないのだろう。これは夢なのだから。
目的は果たせなかったな。
そう呟いた時には、きみはもう目的のことを忘れていた。
(おわり)