072: 入場券
券
売機からチケットを取り出すと、きみは改札に向かった。映画館だ。古いスパイ映画を上映中らしい。
ゆるいスロープを上り、そっと映画館の扉を押し開けた。
外の明かりがなるべく入らないように気を付けたつもりだったが、何人かが君の方を向いた。暗くて表情は見えない。
空いている椅子を見つけて、なるべく音を立てないように座る。
映画はすでにクライマックスを迎えているようだ。
「マイナス!」
スパイの決めセリフで映画は大団円を迎えた。
きみはホテルを出て山の方へ向かった。