071: 手掛かり
「
大したことじゃないようなことが意外と大切だったりするんだよね」
そう言うと彼女は笑った。
握った右手をまっすぐに差し出すとゆっくりを手を開いた。
そこには透明のビー玉があり、彼女はきみに手渡した。
「中に泡があるでしょ?」
たしかにビー玉の中には泡が閉じ込められていた。
「その泡を通して世界を見たことある?」
きみはビー玉をかざしてみる。
いつかどこかでビー玉越しの景色を見たことがあるような気がする。
「大事だよ。覚えておいたほうがいいよ」
そう言うと彼女はどこかへ走り去った。
きみは駅舎の方に行ってみることにする。