038: ロック
ガ
ラスの向こうの人影はきみに気づくと目の前にやってきた。
ドアを開けてくれるつもりはないようだ。ガラス越しにきみたちは向き合う。
「ぼくの名前はロック。はじめまして、かな。二回目かな」
忘れてしまっているのか。うまく思い出せない。
ロックはひとりで喋り続ける。
「ぼくはきみの味方だよ。何度だってきみにヒントをあげられる」
「この世界は三桁の数字でリンクしている。もう知っているよね」
きみは知っていた。きみの行動のすべてが三桁の数字に支配されてきたことを。
「そのリンクは絶対じゃあないんだ。そのことを覚えておかなきゃいけない」
ロックは真剣な表情のまま続ける。
「この世界の住人も三桁の数字に支配されているんだよ。僕の三桁、わかるかい?」
「わかるならリンクの支配を逃れて僕の三桁に行ってみるといい。
大丈夫。必ず戻ってこれる。ヒントは掛け算だ」
そう言うとロックは姿を消した。
きみはロックの数字がわかったような気がした。