008: 老人に返事をした
「
こんにちは。ここはどこでしょうか」
きみは反射的に問いかけた。
その老人はゆっくりと答えた。
「ここは夢の中じゃよ。薄々気づいていたろうが」
そうだ。これは夢だ。
「ここは君の作った世界じゃ。自由に振舞えば良い。帰りたくなったら帰ればいい。ただし、」
声色が急に厳しく変わった。
「帰る方法があるならば、な」
戸惑うきみを残し、老人はいつの間にか消えていた。
しゃがれた笑い声だけが響く。
「帰れれば良いのう」
きみは恐怖に囚われたまま、しばらくその場から動けないでいた。