004: 木造の階段を上る
思
ったよりも長い階段だった。薄暗く、どのくらい続いているのかはっきりとは見えない。
きみはギシギシと音を立てる薄暗い階段を慎重に上りはじめる。
一段ごとに階段は細く狭くなっていく。きみは心細くなって細い手すりをしっかりと握る。
二階分くらいの長さを上った先にはまた木製のドアがあった。隙間から光が漏れている。
ここは暗くて息苦しい。きみは急いでドアを開けた。
そこは絨毯のひかれた廊下がL字に伸びている。
正面には真っ直ぐ伸びた廊下の左右にドアがいくつも並んでいる。
右手に「大浴場こちら」の看板がぶら下がっている。
今来たドアを振り返ると「非常口」の緑色の電灯が張り付けられていた。きみは古い旅館の非常口から入ってきたようだ。
きみは、