003: 海を探す
建
物の裏手を歩き始めてすぐ、波の音が聞こえてきた。気付くと弧を描いた大きな砂浜が目の前に広がっている。
景色を横切るように列車の高架線路が長く伸びているのが見えた。
砂浜に座ると、きみは短い小枝を拾い上げる。それから砂浜になにかを描きはじめた。
最初は小さな丸。とても上手な丸が描けた。
気をよくした君は今度は立ち上がり、大きな丸を描いた。
その時、ガタゴトという騒音が聞こえて、高架線路を電車が走る。三階建ての駅舎に入っていく。
あの電車はどこへ行くのだろうか。
きみは、